イギリス会社法人登録所(Companies House)では、企業の透明性とデータの信頼性を強化するべく重要な規則改正が進行中です。英国で会社登記に関わることのあるビジネスパーソンが知っておくべき主要なポイントは以下の通りです。
- 一般公開ポリシーの継続
まず重要な点として、Companies Houseにおける登記情報および提出書類の一般公開ポリシーは、今回の改正によって影響を受けることはありません。会社情報はこれまで通り、広く一般に公開され、誰でもアクセス可能な状態が維持されます。
- 変更点:情報の更新および修正の制限
一方で、企業が登記情報を変更または更新する権限は、今後、身分認証を完了した個人や法人に限定されるようになります。英国政府この入力を規制する措置により、企業データの正確性を確保し、虚偽・不正確な情報が登録されるリスクが大幅に低減することを狙っています。
登記情報を変更または更新する権限を認められる対象者は以下の通りです:
- 新規事業設立者および認可法人 (Founders of new businesses and recognized entities)
- Persons with Significant Control (PSC)
- 認定法人サービスプロバイダー (Authorised Corporate Service Provider, ACSP)
これらの対象者は、新規則のもとでの厳格な身分認証プロセスを完了する必要があります。
- 身分認証の手順
新規事業設立者、PSC等の身分認証は以下を通じて行います:
- 個人証明書の提出: パスポートや運転免許証などの公式な身分証明書の提出。
- オンライン認証プラットフォームの利用: 安全なオンラインツールを通じた認証手続き。
詳細な手順については、公式ガイドラインが今後発表される見込みです。
- 認定法人サービスプロバイダー (ACSP) の役割
ACSPは、弁護士、会計士、などの専門家が対象となり、プロフェッショナルの代理人として以下の役割を果たします:
- 書類の提出代行: クライアントに代わり、新規設立申請や確認申請を含む必要書類を登記所に提出。
- 身分認証の実施: クライアントの身分認証を監督し、「認証声明 (verification statement)」を登記所に提出。
- 再認証対応: 名前や連絡先情報、主要な事業活動の変更など、再認証が必要な場合のサポートの提供。
- 導入スケジュールと当局手数料
新しい規則は2024年から段階的に実施されます。英国政府は具体的なスケジュールやガイドラインを政府の公式文書にて発表することに加えて、改正内容の理解と遵守を促進する「英国会社法改正(Changes to UK Company Law)」という専用ウェブサイト(https://changestoukcompanylaw.campaign.gov.uk) を開設しており、定期的にガイダンスを発信しています。
また、政府は改革に伴いCompanies House手数料体系を改定しました。しかしとは言え、同等の情報の開示の費用の国際基準と比較した場合には英国の当局は依然として競争力のある低水準を維持していると言わざるを得ません。
- 対策
これらの規則改正につき、各企業には以下の対策をお勧めします。
- 新しい身分認証手続きの理解と実施
- 認定法人サービスプロバイダー (ACSP) の活用
- 最新の公式情報の定期的な確認